心にわだかまりがある家族の支援・心残りをなくす終活準備、やさしい未来支度

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母と話をしておけばよかった


親がウザい、なんて思ったことありませんか?
正直、私も若い頃は何度も思っていました(笑)。

私は母子家庭で、「自立していくのが当たり前」という空気がありました。母に頼ることなんて一切なくて、むしろ頼る自分を許せない気持ちさえあったんです。

母によく言われていたのは、「人様に好かれるようにしなさい」という言葉。
看護師になったのも、「手に職を持ちなさい」という母の言葉がきっかけでした。最初は反発していたけど、なんとなく「まあ、そうなのかな…」と思い、そのまま流されるように進んだ道です。

でも今になって思うんです。
「勝手に引かれたレールの上を歩いていただけだったな」って。

あのとき、どうして怒らなかったんだろう?
「わたしはこう思う」と、どうしてちゃんと伝えなかったんだろう?
心のどこかで、親を遠ざけていたのかもしれません。

ネガティブな感情をうまく吐き出せなくて、「まあ、いいか」で済ませていた。
正直、面倒くさいという気持ちが強かったんだと思います。
それくらい、親を拒絶していたんです。

母が急逝して、すべてが変わった

そんな私が22歳のとき、母が突然亡くなりました。

当時は看護師として働きながら、友人との時間や自分の楽しみに夢中で、母との会話は「また今度でいいか」と後回しにしていました。母も、「たまには顔を見せて」と言うものの、それ以上強く求めることはありませんでした。お互い、どこか遠慮し合っていたのかもしれません。

しかし、母がいなくなると、現実は一変しました。
残されたのは膨大な入院費と葬儀費用。目の前には358万円の請求書が並び、何をどうすればいいのかわからず、親戚や知人に頭を下げてお金を借りる日々が始まりました。

悲しみに浸る暇もなく、ただ必死に動いていました。

仏壇から見つけた手紙

母が亡くなって2か月後、ようやく家を整理しているとき、仏壇の小さな引き出しから一通の手紙と生命保険の証券が出てきました。
手紙にはこう書かれていました。

「大変なことがあったら、これを頼りにしてください。」

その言葉を読んだ瞬間、胸がギュッとなりました。
母がどれだけ私のことを気にかけてくれていたのか、その優しさと強さが改めて胸に迫りました。

でも、保険があればどうにかなるというわけではありませんでした。
必要な書類を探し出すのも一苦労。手続きが進んでも、「印鑑証明が違う」「書類に不備がある」と問題が次々に出てきて、母の遺品をひっくり返しながら、何度も役所へ足を運びました。

そんな中で、母がもういないという事実に向き合う余裕なんてありませんでした。
ただただ目の前の問題を片付けることに必死でした。

すべての手続きが終わり、借金を完済できたのは母の死から1年後のこと。
そのとき、ようやく涙が溢れました。母がいないことの大きさを心の底から実感した瞬間でした。

言えなかった本当の気持ち

看護師として、デザイナーとして、嫁として、多くの役割を抱えながら走り続けてきた私。日々の忙しさに追われる中、ふと気づくと、母が亡くなった年齢に自分が近づいていました。

「あのとき、もっと母と話していれば…」
「あのとき、母はどんな気持ちだったんだろう?」

お金のこともそうですが、それ以上に聞きたかったのは、母自身の思いや気持ちでした。
でも、私は母に「どう思っているの?」と聞けなかった。
それどころか、自分の本当の気持ちさえ伝えられなかった。

私はずっと「いい子」でいなきゃいけないと思っていました。
母が期待する通りの娘でいようとして、頑張りすぎて疲弊していたんです。
本当は、「嫌だ」と思っていることがたくさんあったのに、それを飲み込んでしまっていました。

「自立していなきゃいけない」
「人様に好かれるようにしなきゃいけない」
そんな母の言葉を真に受けすぎて、本当の自分を隠していたんです。

母が亡くなった後、私には後悔が残りました。
お金のことも、母に対する感謝や不満も、何ひとつ言葉にできなかったことへの後悔です。

『ただいま交換日記』が生まれた理由

だからこそ、思ったんです。
もしもあの頃に、もっと自然に大事な話をするきっかけがあれば、こんな後悔は生まれなかったかもしれないと。

普段は話しにくい「お金のこと」や「将来のこと」、そして「親への本音」。
日記なら、少しずつ自然に伝えられるのではないかと感じました。

『ただいま交換日記』は、そんな気持ちから生まれました。
親と子が、気軽に本音を伝えられる仕組みを作りたかったんです。

「ただいま」と声をかけるような気持ちで始められるからこそ、気がつけば大事な話も自然にできている。

特別なことを書く必要はありません。
「今日こんなことがあったよ」
「昔こんなことを思ってた」
そんな軽い話題から始めて、徐々に本当に大事な話ができるようになる。

言えなかった本当の気持ちを、少しずつ紡ぎ直していける。
それが、『ただいま交換日記』です。

後悔を減らすために

親との会話を後回しにしている人にこそ、伝えたい。
ネガティブな感情も、本音も、少しずつでいいから伝えてみてほしい。
それが、未来の自分を助ける大きな力になるから。

『ただいま交換日記』が、親子の本音をつなぐ架け橋になりますように。
後悔のない未来のために、一歩踏み出してみませんか?

  1. 母と話をしておけばよかった
  2. ただいま交換日記、デスラボに行く
  3. 義母との交換日記、続いてます
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